2010年3月31日水曜日

新型インフルエンザワクチン大量破棄

ワクチン234万回分破棄
(Yahoo!ニュースより引用)
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新型インフルエンザ対策で政府が用意したワクチンのうち、234万回分が今月末で使用期限を迎え、廃棄処分される。流行の沈静化などで思ったほど接種希望者がいなかったためだ。ワクチンは現在、国産と輸入を合わせ約1億回分が余っており、多くは順次、使用期限切れで廃棄される見通し。厚生労働省は31日、有識者らによる新型インフルエンザ対策総括会議の初会合を開き、対策が適切だったか、検証に入る。
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やはり・・・・
確かに流行の予測は難しく
ワクチンの数の調整は困難だったでしょう。
しかして、これは大問題。
しかも「今月末で使用期限が切れる」のが234万回分で
全体では1億回分が余剰、順次破棄との事。

1回打ちだ2回打ちだとか
年齢、疾病による制限とか
副作用の報告のさせ方とか
今回の流行で検証しなければならない問題
反省点もも多々あるはずですが
ちゃんとアナウンスしてくれるのでしょうか・・・・

今後、このようなパンデミックが起きた時に
教訓として生かせるようにちゃんと整理、
情報公開をして欲しいものです。

2010年3月30日火曜日

往診をしています

往診・・・ご存知?

ある年齢以上の方ならば
「白衣を着たお医者さんが黒い革の往診かばんを提げて
看護婦さんと家に来てくれる」
スタイルを思い出すかもしれません。

けれども、大部分の方は
「何、それ?」
と思われたのではないでしょうか。

今の時代、交通網の発達や救急車の配備で
「すぐ病院に駆け込む」
のが当たり前とされています。
「家に医者が来る???」

私はこの十数年、関西のとある田園都市で
「往診」を行っています。
私のフィールドは限界的な過疎の地ではありません。
近隣に病院・診療所が数件あり
救急車だってもちろん配備されています。

そんな土地で往診・・・・

ひょんな事で始まった私の往診業務です。
時間の変遷によっていろいろな問題が生じます。
決して華やかな世界ではありません。
やりがいがあるかと言うと・・・これまた微妙でして(笑)

とにもかくにも一般的には知られない
知る事のない「往診医」の記録を
ぼちぼちとどめておこうと思います。

普通のお医者さん

ある女性が
「火傷したので病院に行ったら門前払い食わされた!!」
と怒っていました。
「夜診は内科しかないから火傷は外科へ行け」
と言われたとの事。

聞けばコーヒーカップをわき腹に落として
もちろん熱くて発赤が出来たが
さほどひどい状態ではなかった様子。
「その程度ならば冷やしていれば大丈夫なのよ・・・」
と説明したが、彼女は納得しない。

まあ、昨今、何でもかんでもすぐ病院に行かないと
手遅れになりますよ・・・・と脅迫観念を与えられている時代ですしね。

しかしていきなり「外科に行け」はちょっとひどい。
第Ⅲ度広範囲熱傷であるまいし
見ることもせずに拒否ですか。
彼女もそこに対して怒っている様子。

まあまあ・・・・となだめながらふと思いつきました。
「・・・後から"綺麗に治らなかった!!"とかクレーム、
訴訟になるのを恐れていたのでは・・・その内科医・・・・」

最近、結構あるのです。
「跡が残るかもしれない、と言う説明を受けていなかった!」
と言う形で訴訟に発展したらこれは医師が負ける可能性も出てくる。
まさか、常識範囲内の問題で・・・と思うのですが
この国もアメリカ並みの巨額訴訟国家を
踏襲する気配があるので油断が出来ません。

そんなパターンにおびえつつ診療をしていると
自分の「専門分野」の中に完全に引きこもるしかなくなります。

大学病院など高次の病院であるまいし
一般開業医たるもの
ある程度はオールラウンドな診療技術を身につけるべきですが
時代が許さないようです。
「何でも診ます」だと医者の仲間内でも馬鹿にされるし
患者も信用しません。
研修医の全科ローテート制は
その辺の問題解決の意味もあってスタートした筈なのですが
普遍的な診療が出来る医者の育成にはあまり寄与せず
別の問題を引き起こしてしまっている様に思います。

何でもかんでも「専門医」に診てもらわないと
患者は納得しません。
医者もトラブルを恐れて患者のたらい回しをせざるを得ません。
かくして受診科が増え、医療費が増え・・・・

「普通の近くのお医者さん」は駆逐されつつあります・・・・

医療ミス・単純な・・・・ではすまされない?

腎臓の左右とり間違えて摘出
(Yahoo!ニュースより引用)
2010年3月30日
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栃木県の小山市民病院で2月、60代の患者の腎臓摘出手術を行った際、誤って正常な腎臓を摘出したことが29日、分かった。同病院が発表した。患者の容体は安定しているという。


 同病院によると、患者の手術は泌尿器科の医師が2月10日に行った。がんが疑われる右の腎臓を摘出しようとしたところ、誤って左の腎臓を摘出。摘出後に誤りに気付き、直後に移植手術で患者に戻したが機能せず、約1カ月後に別の医療機関で摘出された。

 手術前に行う皮膚のマーキングを忘れたことなどが原因。患者の体力を考え、右の腎臓の摘出は行っていないという。 
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まさか、と思う事故があるのですね・・・・
左右の取り違えは言語道断です。

しかして「癌の疑い」ですよ?術前の段階では。
開けて視て病巣を確認、病理検査に廻しませんかね?
まあ、病理室が併設されているとは限りませんが・・・

何か変だなぁ・・・・と思っていたら
続報があって
なんと「CTフィルムの裏表間違い」
裏にして見ていたら右が左になるわけです。
でもですね・・・メーカーにもよりますが
フィルムの裏表は微妙に光沢が違うものなのです。
裏にして見ていたら当然、写し込まれている患者名や数字も
逆になって違和感があるものなのですが。
・・・・モニター読影診断に移行していれば・・・・

取り違えなんてありえない・・・・
・・・・と思ったのですがこんなブログ記事を発見・・・
外科医が手術部位を間違えて執刀するとき・米国版

・・・・本当に単純なミス・・・は後を絶たないみたいです・・・

2010年3月25日木曜日

救急車が起こした事件

救急車が搬送患者取り違え

(産経ニュースより引用)
2010年3月24日
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「救急隊が到着しない…」実は患者取り違えて搬送 秋田・横手市消防本部

秋田県横手市消防本部の救急隊員が、患者を別の病院に搬送する際、隣の病院の患者を誤って運んでいたことが24日分かった。搬送予定だった患者は約20分遅れで病院に到着し、容体に影響はなかったとしている。
横手市消防本部によると、18日午前10時23分ごろ、市内の病院から80代女性を別の病院に運んでほしいとの119番があった。
 約30分前、通報してきた隣にある病院に、同じ疾患の疑いのある70代女性を搬送していたことから救急隊員が勘違いし、この女性を別の病院に運んだ。70代女性も転院予定だったため誤りに気付かなかったという。
 119番した病院から「救急隊が到着しない」との連絡があり、患者の取り違えが判明。
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消防センターに依頼すると
「確認はもういいから早く来てくれ!!」
と叫びたくなるくらいに何回も確認連絡が来るので
いらいらする事もあるのですが
実際、こんな事が起こるのですね・・・納得。

しかして・・・・こんなニュースを読むと
患者取り違えがかわいい問題に思えます・・・

中国の酒酔い救急車
(serchinaより引用)
2010年2月26日
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救急車“酒酔い”で通行人を襲う―杭州で死者・南京でも事故

 浙江省杭州市桐廬県で2009年10月19日、出動した救急車が人をはね、死亡させた。運転手の血液からは基準を上回る濃度のアルコールが検出され、当人もビールを飲んだ後に運転したことを認めた。検察は2月23日、運転手を公訴した。酒酔い運転で救急車がおこした人身事故は、1月2日にも江蘇省南京市で発生した。青年時報、中国新聞社などが伝えた。
 杭州市内の事故は、夜10時ごろに発生。急病人の発生地点に向かう途中、横断歩道上で55歳の女性をはねた。乗っていた医療スタッフが応急措置をすると同時に、他の救急車の出動を要請。女性は病院に運ばれたが死亡した。
 警察によると、事故直後に運転手の血液から、100ミリリットル当たり10ミリグラムのアルコールが検出された。運転手も、夕食時にビールを飲んだと認めた。
 検察によると、パトカーや消防車、救急車などの緊急車両は、出動時には警報灯をつけ、警報音を鳴らした上で、車線や一方通行、信号機など、一般的な交通制限にとらわれず走行することができる。しかし、安全順守義務などはあり、「絶対的優先権」が与えられているわけではない。同事故では、飲酒の問題は別にしても、横断歩道上に人がいるにもかかわらず走行を続けた救急車側にすべての責任があるという。
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・・・・・ちょっと待って・・・この記事・・・
「飲酒の問題は別にしても」・・・って・・・

別にしてはいけないのではっっ!
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 一方、南京市でも1月2日夜、救急車が自転車で走行中の女性をひく事故が発生した。女性は救急車の下敷きになったが、通行人約20人が救急車を持ち上げて救い出した。女性は病院に搬送され、一命をとりとめた。
警察の調べによると、運転手は個人的な宴会に出席するために救急車を使い、その帰りだった。運転手の血液からは、基準を上回るアルコールが検出された。事故現場で女性を助けた人によると、運転手は相当に酒臭く、ふらついていたという
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なかなかワイルドな事件ですね・・・
ひかれた女性も「救急車の下敷きになって」
生きているというのですから脱帽です。

2010年3月23日火曜日

中国・福建省 診療所の医師が小学生殺傷

中国で小学生13人殺傷
(サーチナより抜粋引用)
2010年3月23日
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中国・福建省の南平市同市延平区の実験小学校校門で登校してきた生徒が
次々に襲われ、8人が殺害、5人が負傷した事件で、
容疑者の男は、人から見下されることや、交際中の女性が結婚してくれないことが
動機だったなどと話した。

  逮捕されたのは同市出身の鄭明生容疑者。鄭容疑者は41歳。
中級専門学校を卒業し、小さな診療所で医師として勤務していたが、
09年6月に「別の分野で身を立てたい」として辞職した。
 鄭容疑者は現場で同校教師や通行人に取り押さえられ、警察に身柄を引き渡された。
事件を起こした理由について「発音がはっきりせず皮膚病もあり、
周囲の人に見下されていた」「交際している女性が、いつまでたっても結婚に同意してくれない」
「診療所を辞めてから、次の仕事がうまくいかなかった」などで、
「生きているのがいやになった」と供述したという。(編集担当:如月隼人)

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以前にこの国でも同じような事件があった。
この襲われた「実験小学校」は
学力の高い子供を集めたいわゆる「エリート校」だそうです。

自分のストレス、コンプレックスや欲求不満から通り魔・大量殺傷事件に至る。
有名な「津山30人殺し」など
類型パターンは後を絶ちません。

犯人が男性だとその発散するパワーも大きく
複数人の殺傷という形をとり
犯人が女性だと「点滴にインスリン」という
小さな内向的な攻撃になるのではないでしょうか?

2010年3月10日水曜日

安全重視は解雇

安全運行に尽くした機長を解雇
(毎日新聞2010.3.9の記事がリンク切れのため
「人生チャレンジ20000km」さんのブログを参照にさせて頂きます。)
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国交省などによると2月5日、羽田発福岡行き017便(ボーイング737-800型、乗客177人)の外国人機長(52)は、客室乗務員のチーフの声が風邪でかすれていたため緊急時の呼び掛けが困難と判断、本社にチーフの交代を求めた。これに対し、社長と安全統括管理者の会長は交代させずに飛ぶよう求めたが、機長は拒否。このため自宅待機していた別の外国人機長を呼び出し、この機長がチーフの声に問題ないと判断して1時間遅れで出発した。同社は交代を求めた機長を同日付で契約解除した。
。国交省は「会長らの行為は安全運航体制を脅かしかねない」と指摘し、安全管理体制を見直すよう求めた。機長2人の判断に問題はなかったとしている。国交省で文書を受け取った会長と社長は何もコメントしなかった。【平井桂月】

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まぁ、確率考えるとこの飛行機がそのまま飛んで落ちて
クルーの一人が声を出しにくくて誘導できなくて・・・

って現実には起こらないとは思いますよ。

でも現場の機長判断が至上命令のはず。
一人目の機長の日常勤務に何か問題があったのか
二人目の機長に脅しでもかけて飛ばせたのか・・・
疑心暗鬼になります。

ついでに即日解雇が出来るんだ・・・航空会社って・・・・

もう古い話になったけれども

建築偽装の問題とか

山本病院とか

「やれっ」と強要されて犯罪に加担させられる構造はありますが

まっとうな事言って即日解雇では

そりゃあ、まっとうな事、言ったりやったり出来なくなりますね。

さすがにスカイマーク社長は怒られていましたが。

「なんで注意されんだよ!こっちはかつかつで廻して必死なのに!!」

くらいにしか考えていないのかもしれません。

だって次の日
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2010/03/10(水) yomiuri online newsより引用

スカイマークは10日、神戸空港に出社してきた神戸発福岡行き便の

男性機長が風邪による発熱を訴え、代わりのパイロットがいなかったため、

午前7時5分発同便と折り返し便を運休した。
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報道の翌日だったので思わず笑ってしまいましたが。
これもとっくにリンク切れ。
どう言う事かな?

航空業界と医療業界。
他にも命に関わる業界は多いのですが
病んでいる構図は共通だと思いました。

2010年3月3日水曜日

インスリン事件で24才看護師逮捕

病院内で90歳台の患者にインスリン過剰投与。
その続報です。
24才京大病院看護師逮捕
(毎日jp.より引用)
2010年3月2日
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インスリン事件:24歳看護師逮捕 京大病院の担当者

京都大学病院で昨年11月、入院患者が高濃度インスリンによる低血糖発作で意識不明になった事件に関連し、京都府警捜査1課と川端署は2日、患者の看護記録に虚偽の血糖値を記載した公電磁的記録不正作出と同供用の容疑で、患者の担当看護師の木原美穂容疑者(24)=京都市左京区吉田下阿達町=を逮捕した。府警はインスリンが人為的に投与されたとみて殺人未遂や傷害容疑を視野に入れて捜査しており、木原容疑者の関与を調べる。
府警の発表では、木原容疑者は「間違いありません」と容疑を認めており、今後、動機を追及する。
逮捕容疑は、昨年11月14~16日、循環器内科に入院中の女性患者(94)の病状が低血糖により急変した際、容体の安定を装うため、入力端末で数回、看護記録に正常な血糖値を入力したとされる。府警によると、看護記録は院内のパソコンで管理され、看護師が個々のIDやパスワードを使い担当患者の状態を入力する。
 京大病院によると、木原容疑者は先月22日、虚偽の数値を記入したと看護師長に報告し、大学が刑事告発した。同容疑者は大学の調査に「(事件の)3カ月ほど前から、自分が当番の日に患者の急変が多いと同僚から軽口を言われたことを気に病み、とっさに正常な思考ができなくなった」と話し、「迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪したという。【田辺佑介】
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記事を読んでもいまいちピンとこない内容でしたが
これは自作自演?
「あんたの当直の時、悪くなる患者が多いね!」
みたいに言われたのかしらん・・・・
そんな事を軽く言い合う事はよくあるのですが
冗談が冗談ですまなかった
と、言う事ですか?

これはもちろん個人の責任ではなく
波みたいなものがあって
当たりまくる人と当たらない人
同じ人でも時期によって違う。
私も若い時分には「デビル」とまで呼ばれ
同じ当直に入った看護師に恐れ嫌がられた時期があったのですが・・・

彼女はそんな波やら何やら全て被ってしまって
自己処理出来ずに奇異な行動に出たのでしょうか?
理解できない状況です。

病院の会議でもこの事件を引き合いに出して
「注意するように」とか言われましたが
どこをどう注意したものだか・・・
職場環境の健全さを保つ?
個人を追い込まない???

例えば同僚との関係が悪くて
それで悩んだり苦しいのだったら
その相手と直接対決して話し合うべきです。
上司や管理者に相談するとか。
患者におかしな矛先を向けるのは
いかな「ストレス」「ハラスメント」があったとしても
許される事ではありません。
残念なニュースです。

2010年3月2日火曜日

癌と疼痛ケアに関する認識不足について

「疼痛ケア受けたことない」が6割
(3月2日18時13分配信 医療介護CBニュースより抜粋引用)
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 日本医療政策機構が実施した「がん患者意識調査」によると、
がんに関連する痛みや、がんの治療による痛みを和らげる治療(疼痛ケア)を
受けたことが「ない」と答えた人が59%と半数を超えた。
 治療方針の決定過程や、受けた治療について、
「どちらかといえば不満足」「不満足」とした理由を調査したところ、
上位を占めたのは「情報が少ない」「精神面に対するサポートが不十分」などで、
同機構では「診断や治療などの医療技術が徐々に進歩している一方で、
より質の高い療養生活を送る上で欠かすことができない部分に対する
不満が高いことが示された」としている。
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内容とタイトルがちょっとかみ合わない印象がありますが・・・

コメント欄を見ても「がんの特効薬を!」みたいな内容が並んでいますし。
「疼痛ケア」と言う概念自体がまだまだ理解されていないのでしょう。

しかして「受けたことない」が6割、と言う結果は驚きです。
もっともがんでも100%疼痛があるとも限らないので
疼痛がない人は「受けたことない」と回答するでしょう。
アンケートの質問設定と解析にちょっと疑問ありです。
「疼痛ケア」がどこまでの範囲を含んでいるかも曖昧ですし。

がんの「疼痛ケア」≒「モルヒネ製剤による除痛」と考えていいでしょう。
モルヒネ製剤以外にも使用する薬剤はあるのですが
いわゆる末期がんの疼痛にはやはりモルヒネ製剤しか効果が出ません。
このモルヒネ製剤も10年15年前と比べると本当に使いやすくなりました。
パッチ製剤なんかは3日に1回の張替えで血液濃度が維持できます。
ただ、導入の仕方にちょっとしたコツがいりますが
そんなに難しい事ではありません。
うまく導入すると劇的に効きます。

ただ、以前と変わらないのが「認識」です。
患者、そして医師双方の認識が不足している部分が大きいです。
医師でもモルヒネ製剤に関する知識不足、経験不足の人が多い。
だいたい、医師は「末期=死=敗北」と言う教育をなされているので
「末期=死」だと見切ると放棄する、逃げる習性があります。
その延長線に位置するモルヒネ製剤なんか
知る必要も使う必要もない、と言う感じでしょうか。

でも・・・頼むから「モルヒネなんて使うと中毒になる、寿命が縮む」と
患者および家族に言い放つのは止めてくれ・・・と思ったこともあります。
壮絶な疼痛で患者が転げまわっているのに
「モルヒネ使うのなんとなく怖いしどうしようもないし」
で放置している現場も見た事があります。
単なる自分の知識不足・誤解です。
自分ががんになって最後の最後まで苦痛を我慢させられたら
どうなのか、と言う想像力不足でもあります。

医療用のモルヒネ製剤で「中毒」は有り得ません。
患者に不必要な忍耐をさせるべきではありません。
使用方法が分からなければ薬剤師に相談して教えて貰うべきです。
モルヒネ製剤の形状、規格は進歩しつつ変化しています。
私も分からない面が多々あるので
かならず薬剤のプロと相談しつつ進めていきます。

患者側も以前と比べればやや受容の度合いが高まったかな・・・?
でも、本来、患者を啓蒙すべき医師のやり方に
はっきり言ってお粗末な部分が多いので
なかなかだと思います。

「麻薬」=「中毒」と言う短絡的な認識がある限り
「モルヒネによる疼痛ケア」の普及は難しい。
この図式には「麻薬」=「薬物乱用」=「中毒」と言う
もう一つのキーワード「薬物乱用」を含めて考えるべきなのですが
芸能人の薬物汚染などの影響もあり
「麻薬」→「中毒」直行認識になってしまっています。
もちろん覚せい剤やらの乱用は大問題ですが
覚せい剤と大麻と医療用モルヒネを同じ「麻薬」と
ひとくくりにしているから無用な混乱と苦痛が生まれるのです。

ちゃんと「医療用麻薬」の啓蒙をしていかないといけません。