2010年5月2日日曜日

チャンスかも

私立歯科大学定員割れ
( 2010年04月27日 15:16 キャリアブレイン より引用)
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 昨春に大幅な定員割れを起こした私立歯科大・歯学部で、今春も全国17校のうち11校の入学者が定員を満たさず、定員割れが拡大していることが、「日本私立歯科大学協会」のまとめでわかった。

  このうち、奥羽大歯学部の入学者数は定員の3分の1の32人で、松本歯科大、北海道医療大歯学部とともに欠員率が5割以上。昨春の場合、定員割れしても5校が欠員率1割以下だったが、今春は11校すべてで欠員率が1割を超え、2割以上も9校を数えた。定員割れで、高額の学費を見込めず、学校経営には大きな打撃となる。また、質的に一定レベルの学生を確保できないおそれもある。
受験者減には、歯科診療所の過当競争で、「歯科医師は高収入」といったかつてのイメージが崩れていることなどが背景にある。
 文部科学省は「教育の質を確保するべく、これを契機にさらに入学定員の適正化を働きかけていきたい」(医学教育課)としている。
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経済的な観点からの問題もあり
国家試験の合格率の操作もあり・・・・複雑みたいですねぇ・・・・

ふた昔前(十年ひと昔として二十年前・・・
ドッグイヤーで一年=七年換算だと140年前!!!?)には
「医者は余るから医学部定員を絞れ!!」の掛け声だったのですがねぇ・・・
今になって足りないの医療崩壊の過労のなんのと
振り回される方はたまったモンじゃあありません。
社会的背景、身体感覚の認識の変化が
大きすぎた要素もあるのですが・・・・

私立歯科大学だと
投資=学費の高額さがネックになるのでしょうが
10年20年後には歯科医師僅少価値が・・・・
と考えると今がチャンスなのかな?
社会的インフラとして歯医者さんを保護して欲しいものです。
虫歯の痛みはたまったものではありませんし。

10年20年後に
「・・・・む、虫歯が痛んで・・・!!」
歯科医院に駆け込んでも
「はい、予約は1週間後になります」
ひぇー!!
みたいな事態になりませんように。

フグ中毒・その3

(ひつこいけれども続き)

外病院の当直が明けて朝・・・

医者は基本、当直明けの休みはありません。
明けてそのまま通常勤務に就くのです。
病院を移動する間の時間をぬって
高次救急に送り込んだ「フグ中毒患者」の見舞いです。
・・・気になりますしねぇ・・・

「よっ、昨日は大変だったなぁ!」
受け入れてくれた指導医先生が医局で出迎えてくれました。
「バイタル安定しているしだんだん毒が抜けて
意識も出てきているしなぁ・・・」
そりゃあよかった。
「ただなぁ・・・フグ中毒で肺水腫になるのかとなぁ・・・」
「はぁ?」
「いやなぁ・・・あの患者、結構、気管チューブから
泡沫状の血性分泌物が出るんよ・・・
フグ毒で気道損傷や肺水腫になるのかと
研修医どもがずっと騒いでいてなぁ・・・」
「・・・・あのぉ・・・すみません・・・・
それって多分、私が挿管しようとした時につけた傷が原因ですわ」
「・・・・(指導医・ちょっと白い目線)・・・・」
「おっさん、パニック起こしてあばれよったんですよぉ・・・!」
分かった分かった、無理もないよなぁ、とうなづく指導医。
「まぁ、なかなか当たる事も少ない症例だったし
なんとかなりそうだしよかったじゃん・・・」
と会話をしているのは医局の片隅のちっちゃなキッチン。
指導医先生、さっきからそこで「鍋」をこしらえているのです。

医者の現場、特に救急医療では
いつ何が起こるかわからない。
併設キッチンで何かこしらえて食べられる時にかっ込むのが原則。

で、指導医先生、研修医の朝ごはんの面倒まで見るつもりらしく
大きな鍋で丹念に出汁をとってあれこれ具材をほおり込む。
「あんたも朝ごはんまだやろ?食って行ったら?」
「何の鍋っすか?」
指導医先生、ニヤリと笑って
「フグ鍋だよ!!」
すーっ・・・と血の気が引く私・・・

「あの患者の奥さんが付いてきていただろ?
食べ残しのフグの身をビニールに入れて持ってきていたのさぁ!」
・・・・そう言われればあの怒涛の処置中に
患者の横に年配の女の人がすがり付いていて
ビニール袋を差し出して
「これ!これを食べてしばらくしてから
”唇がしびれる・・・!”と言っておかしくなり始めたんです!!」
と泣き叫んでいた記憶が・・・・

「それそれ!そのフグの身の鍋だよ!!」

無言で後ずさりして逃げかける私。

「冗談だってば!タラ鍋さ!」

・・・冗談にも程がありすぎ。
タラ鍋だかフグ鍋だかを辞退して逃げ帰りました。

フグ毒は呼吸筋麻痺の時期さえクリアーできれば
特に後遺症は残さずに回復すると言われています。
その漁師のおっさんも後日、無事退院したと聞きました。
ただ、その後も漁師を続けたのか
そして自分で採ったフグを味噌汁にして食うのは止めたのか
そこの処は分かりません。

なんとかクリアーしたとは言え
とんでもない目に遭いました。
興奮のあまり、同級生や同僚に
「当直していたらフグ中毒が来てん!!」
と喋り・訴えまくったところ、10人中10人が同じ答を返してきた。
「ふーん・・・で、土に穴掘って埋めたんか?」

・・・・えっ?・・・・

古くからの民間伝承で
フグに当たったときは地面に穴を掘って体ごと埋めると
毒が抜ける・・・と言われているらしい・・・なんですか・・・?
とある有名な映画でもそんなシーンがあったとかで
「その当直病院の裏庭に穴掘ってちゃんと埋めたか?」
と本当に10人中10人が異口同音に返してきたので
こっちがびっくりした。
「そんなんで治るかぁぁ!!」

「とりあえず土に埋めておけば毒が抜けるのかも」
「自然回復力に期待」
「どうせ助からないと諦めて埋葬ついでに穴掘って頭まで土かけるんと
ちがうかぁ?手間はぶくんや」
・・・・お医者さん・・・しっかりしてくださいよぉ・・・・
どっと疲れが出てしばらくは立ち直れませんでした・・・・