2010年4月27日火曜日

フグ中毒・その1

毒があると分かっていても、いや、だからこそ
「フグを食べたい!」と言う欲望は
古来から日本人のDNAに脈々と受け継がれているようで
毎年どこかで「フグ中毒」は発生します。

ちゃんと毒の部分を除去すれば問題は無いのですが
「この痺れるのがいいんだ」
と通ぶって危険部位を食べてお亡くなりになる方とか
食べるほうも出すほうも「毒があるなんて知らなかった」
と言うちょっと信じられないケースとかいろいろ。

昔の話です。

工業地帯の某A市の某外科系病院。
大層、環境がナニな地区で
やってくる患者も患者
受ける方も野戦病院状態。
そんなところで週末一人当直をしていた私・・・・
怖いもの知らず+お金ほしさでしたねぇ・・・(遠い目)
貴重な体験もさせてもらいましたが。

病院自体は外科系ですが
外科医はオンコール。
何事もなければ気楽な当直のはずでしたが。
「漁師さんが自分で釣ったフグを食べて痺れています」
救急隊から連絡が入りました。
フグ中毒!!
本での知識はありますが見たこともありませんがな!

フグ毒の成分「テトロドトキシン」は厄介な毒です。
厄介な点はいくつかありますが
なにが一番厄介かと言うと
呼吸筋麻痺に至る場合があることです。
そして解毒剤はありません。
つまり重症の場合は人工呼吸器管理が必要。

「呼吸器管理ができる処に行ってくれ!」
と断ります。
なんたってぼろぼろの野戦病院・・・
酸素だって中央配管ではありません。
「酸素吸入!」
と叫ぶと看護師さんが2人がかりで
身の丈ほどもある巨大酸素ボンベをどこからか
ゴロゴロガラガラ音をたてて引っ張り出してくる施設です。
呼吸器なんて・・・一応はあるのですが
骨董品もの。
そこにフグ中毒なんてとんでもない!!

しかし相手の救急隊が食い下がります。
「いや、ちょっと唇が痺れているだけですから・・・
ちょっと見てもらえればいいんですから・・・」
とひつこい。
そのひつこさに負けて「来て下さい」と言ってしまった私。
どれだけ後悔したか・・・・

後日談になりますが、この時の救急隊のリーダーの
救命救急師が超曲者で
その後、何回か「だまされる」事になります。
10数年経った今でも顔は忘れられません。

病院が搬入を断ってたらい回しのなんのと
昨今、大層な問題になっています。
「めんどくさそう」「しんどいし」
で「満床お断り」にしているケースがあるのも事実。
しかしてなんでもほいほい受けるわけにもいかないのです。

救急隊としてはどこかの病院に押し込んでしまえば仕事終了。
後は病院の責任になるので
病院のレベルとか度外視してなんとか押し込もうと必死です。
病院にいったん収容してしまった後で重症化して
高次病院への転送が必要になっても
その受け入れ先は病院・当直の医者が探して交渉しなければなりません。
ただでさえ受け入れられにくい週末に
当直の医者が必死に電話しまくっても
相手の病院当直医も「はいはい」「でも無理」で断ります。
その間に患者の容態は悪化・・・
死亡したら自分の責任です。
次の転送先を探すのに救急センターは手伝ってくれません。
今時、地域によってはしてくれるのかな?
とにかくその時期はA市でも他の近隣地区でもしてくれませんでした。
「病院間の転送はしますが受け入れ先を探すのはそっちの仕事でしょ!?」
でガチャン。

こうなると運び込まれる医者も警戒心アップ。
ますます受け入れが悪くなる。

そして・・・
ついには「偽装」が始まります・・・・

「ちょっと痺れているだけ」の60才がらみのおっさんを
救急隊が運び込んできました。
見るなり
「なんや!呼吸が止まりかけているやないかぁぁぁ!!!」
私、絶叫。

・・・・・
救急隊が収容した時は「ちょっと痺れているだけ」で
車中でどんどん悪くなったのかもしれません。
どうも他の病院でも断られていた様子だし
その間に容態が変化したとも考えられます。
だけど「呼吸器管理が必要だ」と言う見解を押し切って連れてきて
息、止まりかけじゃん・・・

冗談じゃあない!!
「挿管!!」

気道を確保するために口から気管支にチューブを差し込みます。
そこからが地獄でした・・・・

2010年4月22日木曜日

常套句「心の闇」

「ペット虐待」親たち

(産経新聞 iza! 4/14より引用)
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 厚生労働省によると、年間4万件を超える児童虐待では平成16年以降、心中を除いても毎年50~60人の命が奪われている。中でも、2歳の次女の胸をエアガンで撃つなど、子供を使って遊んでいるとしか受け取れない、常軌を逸した行為が目立ってきた

■「心の闇」解明必要
 精神科医の斎藤学さん(69)は「『しつけをしただけ』と言い張る虐待と、まるでペットを残虐に扱うかのような虐待は異なるもので、一線を画すべきだ。『しつけ虐待』は家族の枠組みの中で起きる一方、家族の枠組みが崩壊したところで起きてしまうのが『ペット虐待』だ」とみる。

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「おいおい、ペットならば虐待していいのかよ!?」
と言う突込みがなされていましたが本当に・・・。
言葉で解説出来ない事例には
「心の闇」と言う常套句を被せてブラックボックスにぽい。
と言いますかちゃんと解説していますよね。
「家族の枠組みが崩壊したところで起きてしまう」と。
要は遺伝子的・戸籍的には親子、家族ではあっても
生物・社会的に家族ではないんでしょう。
要らないんでしょう。
邪魔者はいたぶって殺す。
ある意味、すごく本能的なのかも。

虐待してしまう自分に悩んで医療機関に駆け込む親も居ます。
そんな人はまだ「してはいけないことをしてしまう」と言う自覚がどこかにあるわけです。
「ペット虐待」はそこのところの自覚がゼロみたいですね。
ヒトとして「していいこと」「してはいけないこと」の認識が欠如。
これは戦後社会が「道徳」教育を放棄した・放棄させられた
結果だと思いますね・・・
個々の事例で当事者の心理分析しているだけでは
すまない問題ではないでしょうか。

で。
悩んで医療機関に相談に来る人もいます。
で、医者はどうするかと言うと
「話を聞かない」
この態度に徹します・・・

本人が「私は子供を虐待してしまい自分で自分を止められません!!」
とはっきり訴えていても
「あっ、そう。睡眠薬飲んでぐっすり寝てね」
くらいで追い返します。

児童相談所や警察がからんでくるとややこしいだけですし。
事件として表に出る前には通報・相談するって
どこへどう持っていったらいいかお互い分からないし。
病院としては「かっかしているんでしょ、寝ておきなさい」
くらいしか言えないのも事実なのですが。

以前、勤務していた某医療機関で
あまりにも深刻な感じの人が相談に来ました。
私も困って精神科出身の院長に廻したら・・・
「あっ、そう。睡眠薬飲んでぐっすり寝てね」
で10秒で退場させた。
あっ・・・さすがは経営者だな・・・・
と感心しましたね。
「虐待が絡んでいる」「やばそう」「社会的問題になりそう」
→「病院の評判にかかわる!」→「即刻退場!」
ですね。
真剣に受け止めようとした勤務医の私が甘ちゃんなのです。

だから個々の「心の闇」に迫ったところで
解決するわけでもないだろうに・・・と思ってしまいますね。
「くさいものには蓋をしまくる」大人の行動が要求される社会ですから。

社会自体が「闇」ですよね・・・

2010年4月20日火曜日

モンスター・シルバー

「モンスター×××」
こんな言葉が派生し始めたのはいつからでしたっけ?
とにかく一般常識が通じない。
究極のわがまま、ジコチュー。
そして攻撃的。自己主張が強く周囲を振り回して恥じるところが無い。
これまた最近派生している言葉で
「××崩壊」があります。
「モンスター大量発生で日本社会崩壊」
に至っていると思いますね・・・・

で、高齢者も負けてはいない。
キレる老人が社会的に問題視されています。
ただ、そこら辺を指摘すると
「高齢者、老人を馬鹿にするのか!」
「虐待だ!」
とそれこそキレられたりして。堂々巡り。

でも呼ばせて貰います。
「モンスター・シルバー」と。

どこまでが元来のキャラで
どこからが加齢による変化=痴呆・認知症なのか
年齢が上がるとともに分からなくなります。
もっと進むと明らかにアルツハイマー型の
攻撃性の強い状態になって介護者などに危害を加えかねない
状態に移行する場合も多い。

医療や福祉はサービスだ!
自分の思うとおりのサービスをしろ!
と憲兵づくに威嚇する老人。

思いつき、気ままで通所やヘルパー・訪問看護の
予定を変える・断る・すぐ来いと命令を繰り返す老人。

100%自分の思う通りにならないと
外来や病棟、自宅で暴れだす人だって少なくありません。

往診・在宅も常時、そのような困難なケースを
数件かかえています。

ケアマネージャーや施設・ヘルパーの管理者、家人などが
寄り集まって相談会を重ねたりするのですが
なかなか突破出来ない事例も多い。

身寄りが無い、家人にも見放された人は
金銭管理が出来ず
病院側としては未収のまま続行せざるを得ない場合もあります。

都市部だから地方だから、と言う境界が
悪い意味でどんどん無くなって来ています。
地方だと大家族制がまだ残っているので
家庭内での支援が期待できそうに思うのですが
かえって知らぬ存ぜぬノータッチの家庭も。

日本全国、これからますます
身体・メンタル・経済的に支援、処理しきれない
高齢者問題が増え続けるのでしょう。

若者が全員キレるわけではない様に
もちろん高齢者全員が問題なわけではありません。
ただ、現在から今後の日本社会の人口年齢構図の
アンバランスを考えると
暗然とした気持ちになります。

2010年4月19日月曜日

引きこもりの果て

愛知・豊川の家族5人殺傷
(毎日新聞 4/19より抜粋)
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愛知県豊川市の一家5人殺傷事件で、岩瀬高之容疑者(30)=殺人未遂容疑で逮捕=がインターネットを使用する電話回線をいったん家族に止められ、事件2日前の15日に「殺して火をつけてやる」と家族を脅していたことが一家の関係者の話で分かった。
 一家の関係者によると、殺害された岩瀬一美さんの毎月の給料は無職の長男、高之容疑者に管理されていたといい、引きこもり状態だった高之容疑者と家族のいびつな関係が浮かぶ。
次男の会社関係者や親族によると、給料を管理していたのは高之容疑者で、20万~30万円の収入から一美さんに5万円、母正子さん(58)に4万円を毎月渡し、残りを自分で使っていたという。
こうした状態について、次男は会社関係者に「父が兄に強く言えない」と話していた。一美さん自身も親族に「私が言うと(高之容疑者が)怒るんだよ」と困った様子で話していたという。
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しばらくニュースを見ていなかったら
こんな事件が起きていたのですね・・・
少し前に病院内で出くわした事例を思い出しました。

「40過ぎの長男の体調が悪い」
と両親が長男を救急車に乗せてやって来た。
見れば高度の肝不全。
・・・・何年も引きこもり+酒びたりの生活だったそうだ。

搬入された時は直接関わっていなかったのですが
病棟で「意識状態がおかしくなった」と呼ばれたので行ってみました。
腹水で腹は蛙腹。顔色・目つきがもう生きた人間のものではない。
ここに至るまで何年引きこもり生活していた、させていたんだ。
そう思いつつも一通りバイタルチェック。
血圧・呼吸は安定している。
高度の肝不全なので意識状態が不安定なのは仕方なし。
個室に入っていたのでICUに移動させた。
それが大騒動のきっかけになるなんて・・・

状態が不安定な患者を観察・対応しやすくするために
ICU、観察室に置くのは医療サイドとしては当然の処置。
ところが連絡を受けて駆けつけた両親が
「なんで個室に居ないんだ」
「どうして広いところに移したんだ」
と騒ぎ立てる・・・と言うか怯えている。
看護・加療の面からの措置だ、と説明しても
なんだかそわそわびくびくしている両親。
数分後、その訳が判明した。

意識混濁して動く体力も無いと思われていた長男が
突然、目を見開いて大暴れ!
「なんだ!!ここは!!」
「明るいじゃないか!!広いじゃないか!」
「何でこんな管(点滴)が付いているんじゃ!!」
点滴の管は抜くわ立ち上がって暴れるわ・・・
男性看護師が何人も跳ね飛ばされ
一人は逃げ遅れて首を締め上げられる有様。

かなりの量の鎮静剤を打ち込んでようやく少しはおさまったが
こういう強い興奮状態に陥ると
並みの薬量では抑えられません。

この時、両親いわく
「だから個室に入れておいてくれと言ったのに・・・・」

引きこもりを長期間していたため
広い空間、明るい処に居るのが耐えられなかった、と言うわけ。
致し方なく個室に戻ってもらった。

ここまで来ると医療の及ぶ処ではありません。

興奮と意識レベル低下を繰り返して
数日後に死亡しました。
こころなしか両親はほっとしている様にも見えました。

何らかのきっかけで引きこもりになる=社会的に活動する力が無くなる。
これはもちろん大きな問題です。
家庭内でどう対応していいか分からない。
本人の要求通りにしないと暴れる、危害を加えられる。
叱れない、是正できない。

豊川の事件では父親の給料を長男が握って
ネットで買い物三昧。
ネットを切られると暴れた・・・
なんで無職の長男に家計を抑えられるのかなぁ、と思いますが
暴力が激しくて致し方なし、だったのでしょうか。
やはりわが子が不憫でかわいそうだから
暴れられるよりはお金をあげてしまっていたのでしょうか。

私が出くわした例も同類のパターンです。
なんで無職で家から一歩も出ない・出られない人が
肝不全になるまで酒を飲み続けられるのですか?
「暴れるから」と両親がせっせと買って与えていたからです。

この様な構図の果てに病気で自分が死ぬのは
まだしも穏便な結末だったと思います。
家人を殺傷したり
もう少し外に出られる人だったら
通り魔的な事件を起こすとか
別の結末を迎える事例は多いはずです。

社会と自分、家族と自分の関係を良好に保つのは
いつの時代、どこでも難しいものです。
妥協しすぎると相手がエスカレートする。
抑えすぎると反発を招く。

・・・・・
病院での例は両親は特に何も言わずに帰って行きました。
後日談があります。
どうやら弟が居てその弟も引きこもり傾向らしく
「ネットで調べたら兄に与えられた医療行為は
間違いなのが分かったから訴訟の準備をする」
とか言っているとか言わないとか・・・。
今のところ具体的に何も起きてはいませんが。
両親の苦労は終わったわけではなさそうです。

2010年4月14日水曜日

製薬会社の業務停止命令

田辺三菱に25日間の業務停止命令

弁当屋さんが食中毒出して営業停止ならばしょっちゅうだけれども
製薬メーカーの業務停止命令とは・・・?
(医療介護CBニュースより引用)
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田辺三菱製薬の子会社バイファが遺伝子組み換えヒト血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%製剤」の承認申請資料のデータを改ざんしていた問題で、厚生労働省は4月13日、田辺三菱製薬に対し、25日間の第1種医薬品(医療用医薬品)製造販売業の業務停止を命じたと発表した。子会社のバイファも、30日間の医薬品製造業の業務停止処分を受けた。
 同省の発表によると、バイファが品質試験、製造工程の各段階でデータの改ざんなど薬事法違反に当たる不適切行為を行っていたのに対して、田辺三菱はバイファとの情報共有・伝達が実務的に機能していなかったため、管理・監督が十分にされておらず、バイファの不適切行為を漫然と見逃し、承認申請資料の信頼性の確保と、適切な製品の製造管理、品質管理を行わせることができなかったと指摘している。
 
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「製造工程の各段階でデータの改ざんなど
薬事法違反に当たる不適切行為を行っていた」って・・・
全部がうそ?で固めた?と言う事ですか?

内容を読んでもなにをどうしたのかがまだ分かりませんが
こういう事件は「よく表に出たものだ」とも思います。
改ざんした、と言ってもそりゃあ「しろ!」と
命令があったに決まっているし
それが表に出るには内部告発・・・かなぁ・・・

ちなみにアルブミン製剤にも遺伝子組み換えがあるとは
知りませんでした。
勉強不足でした・・・
私自身がこの様なごっつい薬剤を
取り扱わなくなってから長いもので・・・
ちょいと検索をかけてみました。

遺伝子組み換えヒト血清アルブミン製剤(商品名:メドウェイ注5%、同25%、ステム注5%、同25%)2007. 11. 29



献血に頼らなくてもいいので安定供給が望めて
感染症のリスクも減って・・・と期待の星だったわけですね。

でもどんな段階のどんな内容かはまだ公表されていませんが
データ改ざんではねぇ・・・

「やれ!」と圧力をかけられたらやらざるを得ない。
そこで拒否ったら某スカ○イマークの機長のように
即日解雇の憂き目・・・と同じ構図が目に浮かびます。
子会社が改ざんしていたがそれを管理し切れなかった
みたいな言い訳はトカゲのしっぽ切りだし。
どこも同じ人の世ですねぇ・・・・

家と病院の狭間で

先日の往診、大荒れ・・・

定時往診の件数は少ない。
天候は悪い。
さっさと片付けて内勤業務に励むべし・・・
と段度っていたがそうはいかなかった。

まずは訪問看護ステーションから連絡が入る。
97歳のお婆ぁが脱水起こして入院。
家に帰りたがるので退院。
しかし「ご飯が食べられない」との事で自宅で点滴。
・・・・よくある話なのですが
この「ご飯が食べられない」がかなりくせもの。
家人・介護者は「朝・昼・晩3回の主食・副食を全量摂取」
しないと「食べられない」「食事が取れない」「死んでしまう!」
と訴えがち。
・・・・ほぼ寝たきりでご高齢で1日3回きっちり食べられる
そういう事はありえないのですがねぇ・・・・
周りが自分の年齢、活動性のものさしで
与えてしまい食べた食べられないを判断して
「点滴!」「入院!」「流動食!」と騒いでいる事も多いのです。

まぁ、それはともかく・・・・
そのお婆ぁはジュースや饅頭をぼちぼちとっている様子。
「それで良いんですよ」
と言うと介護者がようやく納得します。
「3度の食事をとらない」→「介護の仕方が悪いからとらない」
→「自分が責められる」
と言う思考回路、防衛意識が働くみたいですねぇ・・・

点滴に入った訪問看護師があわてて連絡をしてきたのは
本日になって急激に熱発してきたからです。
定時往診の合間に差し込んで行ってみます。
肘がパンパンに腫れていて動かすと痛がります。
・・・・
よく聞くと「3日前から痛がっていた」との事。
うーん・・・

関節炎は関節炎です。
細菌性のものだとしてもどこから感染するのか?
膠原病的な要素はないし・・・
高齢者に限らずどうも説明がいかない
単関節の炎症と言う現象に良く出くわします。
まあ、専門の病院・医者に見てもらったら
なにかしらの原因・病名は分かるのでしょうが。

念のため採血をかけると
「・・・思っている以上にCRP(炎症反応)高いじゃないの・・・」
家人に電話連絡。
先日の入院の前には
「家で最後まで看取るのか、入院させるのか」
と家人判断を迫ってみました。
その時は「なるべく長く家で看たい」と言ったのですが
次の日の朝に「入院させてくれ」
・・・「なるべく長く」が半日かいな・・・・
考え・態度がころころ変わる家なのでこっちも用心。
今回は訪問看護で施行している点滴に
抗生剤を追加する事で皆さん納得。

「あそこは行くたびに態度が変わる」
訪問看護の人にちょっとぼやいてしまいました。
「どうも、事あるごとに親族会議を開いていて
そこで出した意見がしょっちゅうブレるみたいですよ」
・・・・なるほど・・・・

本人が入院を嫌がっていたところで
家人・親族が決めてしまえば
家には居られません。

ようやく病院に帰ってきたら・・・
「○○さんが退院して入院しました!!」
「・・・・????何・・・・・?」

95歳のお爺ぃがちょっと遠くの病院の整形外科に入院していた。
数年前に手術した股関節の部分から
金属がはみだしている、との事で連絡があったのだが
あいにくその日は私も整形外科医も不在。
別病院に行ってしまって
「どうなったのかなぁ・・・」
と気にはしていた人なのですが。

「向こうの病院の整形外科を退院させられたが
家に帰る途中、あまりにも状態が悪いので
うちに寄ったら入院」

むこうの整形外科さんは股関節の部分だけを見て
「金属は押し込んだし皮膚表面の傷も治ったから
整形外科は退院」
とした様子。
まぁ、確かに局所だけ見ればおっしゃる通りなのですがね。
しかしてお爺ぃを見れば
全身むくみ倒して意識はほとんどないわ両手の皮膚はずるむけだわ
ぜこぜこひゅーひゅーと喘いでいるわ・・・
聞けば3日前からこっちは本当に食事も水分も採れていないとの事。
おーい・・・心不全、脱水、肺炎ですよぉ・・・・
どんな一般人が見ても状態が普通ではないのはわかりますよぉ・・・

「家で看取るのだ」と言う方針があって帰すのならばまだしも
「もう整形でやる事ないから退院」で
全身状態の悪い人を追い出すのはひどいでしょ。
それが95歳で重度痴呆の人でもです。
確かに整形の患者さんではなくなっていますが
内科医に相談するとかせめてこっちに連絡してくれるとか・・・

本当に股関節しか見ていなかったのか
「あ、状態悪くて死にそうだし面倒だから退院させちゃえ」
と思ったのか・・・
両方か・・・

家と病院の狭間で患者も家族も彷徨っています。
医者もトラブルを避けたいのと
いわゆるプライマリケア技術の不足で
お互いに押し付け合いになって消耗しています。

2010年4月12日月曜日

ようやく時代が振り向いてくれた・・・・かな?

放射線科医の地位向上

先日、画像読影を外国に下請け云々のニュースがありました。
ちょうど学会総会の直前の報道だったので
わざと火に油を注ぐつもりか?
と思っていたらこんな内容で続報が・・・
興味・関心の無い人にはばらばらの報道に見えるでしょうが
これは繋がっています。
水面下で火花が散っています・・・・
(医療・介護CBニュースより引用)
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群馬大医学部の遠藤啓吾教授は4月9日、
横浜市で開催されている日本医学放射線学会の総会で、
「放射線科医からみた画像診断の診療報酬と我々の社会的地位」と題して講演し、
放射線科医の社会的地位を向上させるため、
画像診断の診療報酬を引き上げるべきと強調した。


 遠藤教授は放射線科医について、小児科、産婦人科、外科などの
医師と比べて「社会的にあまり注目されていない」と指摘。
 放射線科医の社会的地位向上のため、
画像診断の診療報酬増や、医師が技術を磨いて
病院や医師会などで活躍することなどが必要との認識を示した
(↑ま・・・当たり前の事ですが・・・
いろいろな意味でおざなりになっている面がある事も確か)

 また、「医療経済における放射線医療」について講演した
全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は、
「麻酔、放射線、病理が日本の医療で一番弱い。
(中略)病院のレベルはこの3つの科によってほとんど決まる」と指摘。

 さらに、医療と教育を「日本の二大基幹産業」と表現し、
「医療費と教育費の底上げ以外にこの国の道はない」と強調。
その上で、よい機械や技術、高度な知識を
適切に評価していく必要があるとの考えを示した。
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とにかく報道の内容には拍手。
ハードだけ買い揃えて意味の無い検査を乱発、
それで数少ない読影医に「とにかく処理しろ」と押し付けるのは無理です。
診療報酬を上げればいい、と言う問題だけではないと思います。
上げれば上げたで
「この読影レポートが何点だからもっと積み上げろ!!」
とありえない件数をさばかせようとする経営者も居ますからね。
出来ない、と断るとこっそり偽装したりして・・・・
最近はレポートもファイルメーカー入力だったりするから
誰が入力してもばれっこない・・・みたいな。
監査する方もレポート内容までチェックする力も時間もありませんしね。

患者、医者、経営者、社会の認識を変えていかないと
解決にはなりません。

この国における放射線医の社会的な地位の低さ、認識のなさは
昔からいろいろな場面で思い知らされてきたものですが
それに「麻酔」と「病理」で3点セットとは思いつきませんでした。
うーん・・・裏方さんではありますがね「麻」「放」「病」
この3科だけではなく根幹を成す大切な仕事はいっぱいあります。
みんな必要なんです。
外科医偏重のドラマ、漫画であおってきた社会の風潮も
どうかと思いますよね。

医者の仕事にも厳然としたヒエラルキーがあるので・・・
また、そういう伝統?封建主義がきっつい地方の出なので
そりゃあ「放射線科医です」なんて口にした途端
「そんな恥ずかしい事を表で喋るな!!」と
親・親戚から総攻撃・・・
いや、事実でして・・・恥ずかしいらしい、親・親戚としては。
よく分かりませんが。
まあ、そこまで極端ではないにしろ
「放射線科の医者?何してんだか」と言った見下し感は
厳然としてありますねぇ・・・・

報酬がうんぬんがもさる事ながら
理解・認識を深めてもらう事には大賛成。
ようやくこういう報道が出てきてくれるようになりました・・・・