2010年3月30日火曜日

普通のお医者さん

ある女性が
「火傷したので病院に行ったら門前払い食わされた!!」
と怒っていました。
「夜診は内科しかないから火傷は外科へ行け」
と言われたとの事。

聞けばコーヒーカップをわき腹に落として
もちろん熱くて発赤が出来たが
さほどひどい状態ではなかった様子。
「その程度ならば冷やしていれば大丈夫なのよ・・・」
と説明したが、彼女は納得しない。

まあ、昨今、何でもかんでもすぐ病院に行かないと
手遅れになりますよ・・・・と脅迫観念を与えられている時代ですしね。

しかしていきなり「外科に行け」はちょっとひどい。
第Ⅲ度広範囲熱傷であるまいし
見ることもせずに拒否ですか。
彼女もそこに対して怒っている様子。

まあまあ・・・・となだめながらふと思いつきました。
「・・・後から"綺麗に治らなかった!!"とかクレーム、
訴訟になるのを恐れていたのでは・・・その内科医・・・・」

最近、結構あるのです。
「跡が残るかもしれない、と言う説明を受けていなかった!」
と言う形で訴訟に発展したらこれは医師が負ける可能性も出てくる。
まさか、常識範囲内の問題で・・・と思うのですが
この国もアメリカ並みの巨額訴訟国家を
踏襲する気配があるので油断が出来ません。

そんなパターンにおびえつつ診療をしていると
自分の「専門分野」の中に完全に引きこもるしかなくなります。

大学病院など高次の病院であるまいし
一般開業医たるもの
ある程度はオールラウンドな診療技術を身につけるべきですが
時代が許さないようです。
「何でも診ます」だと医者の仲間内でも馬鹿にされるし
患者も信用しません。
研修医の全科ローテート制は
その辺の問題解決の意味もあってスタートした筈なのですが
普遍的な診療が出来る医者の育成にはあまり寄与せず
別の問題を引き起こしてしまっている様に思います。

何でもかんでも「専門医」に診てもらわないと
患者は納得しません。
医者もトラブルを恐れて患者のたらい回しをせざるを得ません。
かくして受診科が増え、医療費が増え・・・・

「普通の近くのお医者さん」は駆逐されつつあります・・・・

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